引き継ぎ書は、担当業務の説明だけでなく、後任が「何を、いつ、誰に確認し、どこから再開するか」まで分かるように書きます。業務範囲、定例作業、関係者、未完了事項、リスクを分け、最後に受け手の確認欄を設けると、抜けを見つけやすくなります。

引き継ぎ書に入れる項目

まず、担当者が変わっても業務を止めないために必要な情報を、次の順に整理します。

  1. 業務の目的と担当範囲:何を達成する業務か、どこまでが自分の担当か。
  2. 定例作業:作業の頻度、実施時期、手順、完了の目安。
  3. 関係者と連絡先:社内外の窓口、相談する内容、連絡方法。
  4. 利用するシステムや資料:名称、利用目的、参照場所、アクセス申請先。パスワードなどの認証情報は本文に書かず、組織の安全な引き継ぎ方法に従います。
  5. 進行中・未完了の事項:現在地、期限、次の担当者、次に行うこと。
  6. 注意点とリスク:遅延条件、承認待ち、判断が必要な分岐、発生時の相談先。
  7. 引き継ぎ後の確認:受け手が確認した項目、追加質問、確認日。

業務の手順を日々の作業メモとして残したい場合は、仕事ノートの取り方やフォローアップの整理も参考になります。日ごとの短い記録と、担当変更に使う引き継ぎ書は目的が異なるため、引き継ぎ書では業務全体の範囲や未完了事項までまとめます。

書く前に情報を集める

いきなり文章にせず、次の問いに短く答えてから整えます。

  • どの業務を引き継ぐのか。今回の対象外は何か。
  • いつ発生する作業か。毎日、週次、月次、特定の時期のどれか。
  • 手順の途中で判断が必要な箇所はどこか。
  • 誰の確認や承認が必要か。
  • 今、完了していない案件は何か。期限と次の一手は何か。
  • 後任が初日に迷いそうな用語、資料、連絡先は何か。

「必要に応じて対応」「資料を確認」のような表現は、対象や次の行動が分からないことがあります。資料名、確認する箇所、相談先、期限など、後任が動き始めるための手掛かりに置き換えます。

記入例:月次レポート業務

以下は書き方を示すための架空例です。実際の社内ルール、共有先、システム名に合わせて置き換えてください。

項目記入例
業務名・目的月次問い合わせレポート。問い合わせ傾向を確認し、翌月の改善候補をチームに共有する。
担当範囲問い合わせ件数の集計、分類、前月との差分確認、チーム会議用の下書き作成。施策の決定と顧客への回答は対象外。
実施時期毎月第3営業日までに集計を開始し、第5営業日までに下書きを共有。
手順1. 対象期間を確認する。 2. 指定の集計表に件数を入力する。 3. 分類別の増減を確認する。 4. 大きな変化があれば担当窓口に背景を確認する。 5. 下書きをチーム会議の資料置き場に保存する。
関係者集計方法の確認:業務管理担当。分類の判断:問い合わせ窓口のリーダー。提出先:チーム会議の進行担当。連絡先は社内ディレクトリで確認する。
参照先月次集計表、前月レポート、分類ルール。保存場所と閲覧権限は着任時に管理担当へ確認する。
未完了事項9月分の分類見直しが未完了。次の行動は、10月2日までに窓口リーダーへ判断を依頼すること。担当:後任。
注意点分類ルールが変わった月は前月と単純比較しない。変更理由をレポートに記載し、判断に迷う場合は窓口リーダーへ確認する。
引き継ぎ確認後任が手順と参照先を確認。質問:分類変更時の記載例。確認日:__年__月__日。

未完了事項は「状態・期限・次の行動」で書く

未完了の仕事は、件名だけでは引き継げません。少なくとも次の情報を一組にします。

案件名: 9月分の分類見直し 現在の状態: 変更候補を一覧にした。窓口側の判断待ち。 期限: 10月2日 次の行動: 窓口リーダーに候補一覧を送り、分類を確定する。 注意点: 確定前の分類で月次比較を更新しない。

期限が決まっていない場合は、未定であることと、誰がいつ決めるかを記載します。受け手が引き継ぎ直後に着手するタスクは、本文の中でも見つけやすくします。

受け手と一緒に確認する

引き継ぎ書を渡して終わりにせず、受け手が作業の流れを説明できるか、参照先を開けるか、判断に迷ったときの相談先が分かるかを確認します。情報が不足していた箇所はその場で追記し、担当範囲や期限に認識違いがあれば関係者と調整します。

日々の進捗や次の担当者への短い申し送りを残す方法は、仕事ノートのレイアウト例で扱う記録形式と組み合わせられます。長期的な業務全体の引き継ぎには、このページの項目表を使い、日々の申し送りは別に記録すると情報を探しやすくなります。

まとめ

引き継ぎ書は、業務範囲、定例作業、関係者、参照先、未完了事項、リスク、受け手の確認を順に並べると、後任が次の行動を判断しやすくなります。まず担当業務を一つ選び、未完了事項を「状態・期限・次の行動」で書き出してから、受け手と一緒に確認してください。